人間行動基礎論(心理学っぽいやつ。授業1回目に出題された問題より)



 あなたはテレビのゲームショーに出て、ゲームでトップの成績だったので懸賞がもらえることになりました。目の前に並んだ3つのドアのうち1つを選ばなければなりません。1つのドアが当たりで、その向こうには自動車があります。そして、残りの2つのドアははずれで、そのうしろにはヤギがいます。あなたは当たりと思うドア(たとえば1番のドア)を、まずはじめに指定しました。あなたはその前のゲームで高得点を取ったので、特典として、どこのドアのうしろに何があるか知っている司会者が、あなたが選ばなかった残りのドアのうち、ヤギのいるドア(たとえば3番のドア)を開けてみせました。それから、司会者はあなたにこう尋ねました。
 「あなたはこの段階でドアを選びなおすことができます 選び直しますか?」
さて、あなたならどうするだろうか?


 ① 選び直す
 ② 選び直さない




まずはこの問題そのものに対する解説から。


とりあえず、このゲームのルール(最初に扉を選んだ後、はずれの扉が1つ開かれてその後選び直すことができる)が、ゲーム開始前から教えられていた場合、当たりを引きたいのならば①を選ぶべきなのは確率的に明らか。
しかし、このルールが扉を選んだ後に教えられた場合、②を選ぶべきであるという解釈も成り立つ。なぜなら、もし司会者が挑戦者に自動車をあげたくなかった場合、挑戦者が初めに当たりの扉を選んだ場合にだけこのルールを提示するはずだからである(何もしないと当たりの扉を開けられるのが確定しているので、動揺を誘うため。しかもこのゲームを中途半端に知っている挑戦者に対しては効果倍増)(なお、番組側が自動車代をケチりたいという理由の他にも、初めは当たりを選んでいた挑戦者が優柔不断なために外れに移動するという展開はテレビ番組としていい感じの展開である、という理由も考えられる)(そういや過去のX記でもこの話扱ったな。http://d.hatena.ne.jp/jellies/20070113)。このような考え方をした場合、②を選ぶという選択も賢明な判断であると言えることになる。


というわけで答えは①にも②にもなりうるこの問題。どちらを選ぶかは、「このゲームのルールが事前に教えられていたものか否か」ということが鍵になる(ここで改めて問題文を見てみると、『あなたはその前のゲームで高得点を取ったので、特典として、』のくだりは①を選ぶことを誘導していて、『それから、司会者はあなたにこう尋ねました。』のくだりは②を選ぶことを誘導している)。この問題文からではゲームのルールが事前に教えられていたかどうか確証を持って判断することはできないので、問題文を読んでどう判断を下すかによって①と②のどちらを選ぶかが決まる。


んで、教官の話によると、毎年この授業を選択した東大生(1年生と2年生の理系のみ)に対してこの問題を出しているらしい。
そして、その結果はおよそ


①→10%
②→90%




これに対する解釈は読者への課題とする。