2010年度上半期 ライトノベル感想 2/6


彼女と二人で「C」体験!

彼女と二人で「C」体験! (MF文庫J)

彼女と二人で「C」体験! (MF文庫J)

既刊1巻。
例によって例のごとく3巻完結か?


石川先生のデビュー作『ミサキの一発逆転』は、3つ揃えれば“扉”を開くことができる「時間を操る“Tの旋律”」「空間を操る“Sの旋律”」「次元を操る“Dの旋律”」を3つの勢力が奪い合う話でした。
で、同作者の3作目となる本作は、3つ揃えればコンパイルが可能になる「ソースファイル」「ヘッダファイル」「ライブラリ」を3つの勢力が奪い合う話。
このパターン好きだな作者!


それはそれとして。
こういった類の作品では、作品自体のバグを探して遊ぶのが楽しみ方の1つとなっています。
が、本作品は、他の似たような作品と比べて、デバッグの難易度が妙に高い。
(CとC++の混同とか)演出上の都合は除いて、具体例を挙げると、


・P.88
「“重装歩兵”――“CHeavyInfantry”は、基底クラスなんです」
「このメモで定義されているのは、派生クラス。“CHoplite”のほう」
<↓メモ>
class CHeavyInfantry : public CHoplite
{
public:
     int ReflectAnyStrike();
⇒CHeavyInfantryとCHopliteを書く位置が逆です。


・P.89
「クラスの継承(オーバーライド)――というものがあります」
「基になった設計のすべての機能を持ちながら、さらにすぐれた機能を与えることができる。つまり――」
⇒継承にふるべきルビはオーバーライドではなく継承(インヘリタンス)ですね。


・P.224付近
#define EX_HOPLON 138010
と書けば正しく動くコードを、数字を逆から読んだ“010831”に間違えてコンパイル・実行してしまったがために、プログラムはcore dumpedして終了した。
⇒Leading Zeroがあると8進数だと見なされ、8進数中に“8”が含まれているため、そもそもコンパイルを通りません。


……というわけで、どこぞの期末試験並みにC・C++の細かい知識と注意力が問われる一冊。
油断して適当に流し読みしていると足をすくわれる類の良問でした。

なれる! SE (黒枠おすすめ)

なれる!SE 2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)

なれる!SE 2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)

既刊2巻。
OJTってOrzの同類ですよね?


「SE」という単語になんとなく興味はあるが詳しいことは知らない中高大学生。
→ 『なれる! SE』というタイトルに惹かれてとりあえず購入。
→ 読了。
→ SEこわいSEむりSEこわいSEむりSEこわいSEむり。


という流れを辿る学生が全国各地に現れていても全く不思議じゃない一作。


というわけで、人はなぜSEになるべきではないかを滔々と語った作品です。
(この話が真実の場合も誇張だった場合も)SE業界から訴えられても文句言えないレベル。


1巻に比べて、2巻の内容が大分ソフトになっているのは、そのせいですかね?

恋する鬼門のプロトコル

恋する鬼門のプロトコル (電撃文庫)

恋する鬼門のプロトコル (電撃文庫)

既刊2巻。


<ごく限定的な1巻のあらすじ>
・敵対組織の持つ、重要なプログラムを構成するファイル群が入ったCDを手に入れた!(起)
・当然、コピーして自分の手元に置いておきたい。(承)
・しかし、“霊子”という超自然の力によって、このファイル群はあらゆる複製手段を受け付けないらしい。(転)
・とはいえ、禁止されるのはコピーだけ。読み込みなど他の操作は問題なく出来たので、出力画面を別ファイルにリダイレクトすることであっさりと複製に成功。(結)