俺のSAN値が有頂天

這いよれ! ニャル子さん 3 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 3 (GA文庫)



真尋のSAN値がマイナス方向にカンストしてアンダーフローを起こした。(P.68より引用)




アンダーフローに対するよくある誤解の例として、上記のような表現が挙げられる。
コンピュータが数値を表現する仕組みをよく理解せず、
オーバーフローが過剰に大きい値をあつかうことによって起こる問題なら、
どうやら対義語らしいアンダーフローは負の過剰に小さい値をあつかうことによって起こる問題だろう、
と誤って推測したのだろうと想像し、
「これだから万太は」「これだからラノベは」「これだから萌えクトゥルフは」などと無責任にのたまうのである。
だがちょっと待って欲しい。
そもそもSAN値には負の値は存在しない。このことを逢空万太先生が知らないとは考えづらい。
もしかするとSAN値は、慣用的には、対数をとった値で表現されるのではないだろうか。
人間の感覚は対数的であるという。
ならば、日常的にSAN値の対数を用い、その値をあらためて「SAN値」と呼んでいたとしても不自然ではない。
そう考えると、上述の描写は、ニャル子と身体が入れ換わったことを知った真尋のSAN値がゼロに近づいた、というだけの意味となる。
何らおかしいところはない。
この表現を取り上げて、万太先生の無知を笑うのは、筋違いもいいところなのである。